スポンサーリンク
キングダムは史実なのか?と考えてしまう人は多い事でしょう。
尚、ここでいうキングダムはヤングジャンプで連載している原泰久先生の漫画を指します。
男性ばかりではなく、女性読者も多い漫画なのですが、キングダムは史実なのか?と疑問を持っている人も多いです。
これに関してですが、私の中ではキングダムは「史実4・虚構6」位の物語だと感じています。
尚、虚構6というのは、史実とは違っているかも知れない「オリジナルの設定」の事を指します。
今回は、キングダムのどの様な部分が史実で、どのような部分が虚構なのか?のお話です。
記事の特性上、一部のネタバレにもなってしまうので、ネタバレされては困ると考える人は、読まない方がいいのかも知れません。
スポンサーリンク
目次
キングダムと三国志はどちらの方が古いのか?
キングダムが史実かどうかの話しの前に、よく聞かれる事を答えます。
それは「三国志とキングダム」はどちらが古いのか?という話です。
三国志は日本でも人気があり、どちらの方が古いのか?はよく言われる事です。
これに関してですが、三国志よりもキングダムの方が古い時代と言う事になります。
三国志は、西暦200年位ですが、キングダムの春秋戦国時代は紀元前200年頃のお話しです。
中国の歴史は下記のようになっています。
三皇五帝→夏→殷→周→春秋戦国時代→秦→楚漢戦争→漢→新→後漢→三国志→西晋→東晋・五胡十六国
秦・楚漢戦争・新の時代は極度に短いわけですが、項羽や王莽など短期間ではありますが、天下を手中に収めた時期でもあったわけです。
話を戻しますが、キングダムの世界は三国志よりも400年ほど前の中国を舞台にしていると思えばよいでしょう。
尚、三皇五帝や夏の時代は伝説的な時代でもあり、実在は確認されていません。
ただし、司馬遷が書いた史記や諸子百家の書物には記録があります。
遺跡などが見つかっておらず確認が取れていないのが三皇五帝や夏の時代です。
キングダムは史実を元にした話になっている
キングダムですが、話の全体的な流れに関しては、史実が元になっています。
中国の春秋戦国時代のお話になっています。
それも、春秋戦国時代の末期に当たる時代となり、秦の天下統一が決定的となっている時代です。
秦王として即位している嬴政は、実在した人物でもありますし、万里の長城を建設したりした事でも有名です。
嬴政は統一後は、皇帝と言う称号を得て、秦の始皇帝となります。
学校の世界史の教科書にも出てくるような人物なので、知っている人も多い事でしょう。
信(李信)なども、史実でも登場する将軍です。
キングダムのストーリー自体は、史実を中心に描かれています。
その点を評価して、自分はキングダムは史実4としました。
ただし、春秋戦国時代の記述というのは、非常に少なくて、史記や戦国策くらいしか記述が無かったりもするわけです。
これには、始皇帝が焚書坑儒などの政策により、諸子百家や他の国の史書を燃やしてしまった事も原因の一つになります。
そのため、全体の流れとしては史記をベースにしたストーリーにして、足りない部分を原泰久先生がオリジナルの設定を付け足したと考えればよいでしょう。
実際に、魏を破り東軍を設置した事や、嫪毐の乱、呂不韋の失脚、春申君が合従軍を率いて函谷関を攻める。などは、史記にも書かれていて、史実にもある内容です。
ただし、函谷関の戦いや嫪毐の乱、鄴攻めなどの中身の細かい話などは、原泰久先生のオリジナルの話しが存分に含まれています。
秦は圧倒的な強国で残りの6国は弱体化していた
嬴政は、秦王となるわけですが、当時は戦国七雄の時代でもありました。
しかし、戦国七雄と言っても、1強6弱の状態で戦力が拮抗していたわけでもないわけです。
下記が秦王政が即位した状態での、秦の領土です。
これを見ると、秦が既に天下の半分を領土にしてしまった事が分かります。
残りの6国を合わせた戦力と秦の戦力が同等なレベルになっているわけです。
秦は、戦国時代初期の孝公の時代に宰相である商鞅が法治国家に改革して以来、ずっと強国でした。
他国を次々に侵略して大きく領土を広げて行ったわけです。
キングダムで見ると、趙・魏・韓・燕・楚・斉は、国力もあり力もありそうな感じがしますが、実際には秦とは大きく国力の差があったわけです。
嬴政が即位した状態では、秦の天下統一は時間の問題だとされていた時期でもあります。
李牧が趙で頑張っているようにも見えますが、秦と趙では国力では何倍もの差が開いている状態です。
史実では、圧倒的な国力を誇る秦の前に、他の6国は次々に領土を奪われてしまう悲哀に満ちた感じが出ているのが、史実の戦国時代末期となります。
6国は秦の侵略戦争にビクビクしている状態です。
さらに、始皇帝の時代になると、6国で名将と呼べるのは李牧くらいしかいません。
スポンサーリンク
女将軍は史実には登場しない?
キングダムでは、個性豊かな女将軍が登場します。
羌瘣、楊端和などは史実にも名前が見える人物です。
ただし、羌瘣、楊端和が女性だったとする記述もないわけです。
性別については、何も書いていないわけであり、女性だった可能性もありますが、基本的に何も書いてなければ戦場を駆け巡るのは男性と言えるでしょう。
尚、楊端和は異民族である山の民の王という事になっていますが、史実ではそのような記録も残っていません。
ただ、王翦らと出陣した記録が残っているだけです。
主人公である信は、飛信隊のリーダーですが、河了貂(かりょうてん)という女性の軍師がいます。
しかし、河了貂だけは史実に登場はしません。
キングダムのオリジナルのキャラクターだと思われます。
他にも、李牧の側近であるカイネという女性もオリジナルキャラでしょう。
史実の話しだけだと、物語として成り立たない
キングダムは史実が4だとして、少ないと思われますが、史実の話しだけでは物語として絶対に成り立つ事はないでしょう。
例を上げますが、キングダムでも人気キャラである羌瘣の場合は、史実では下記の記述があるだけです。
経歴
紀元前229年(始皇18年)、王翦、楊端和と共に趙を攻めた[1]。
紀元前228年(始皇19年)、王翦と共に趙王幽繆王を東陽で捕らえ、趙を滅ぼした[2]。さらに、兵を率いて燕を攻めんと中山に駐屯した。
羌瘣は史記では列伝があるわけではありませんし、このような記述しかないわけです。
別に蚩尤の末裔だとか、女剣士であったなどの記述は一切ありません。
もちろん、龐煖と戦った記述も存在しません。
この史実の記述だけでは、物語にも何もならないでしょう。
趙の三大天の一人であった廉頗の場合も、戦いで勝ったとか、長平の戦いで解任された記録はありますが、どのような戦い方をしたのかは不明です。
趙から魏に移った記述はありますが、史実では魏王は廉頗を疑い将軍にしなかたっと記述があります。
秦が攻めて来ても、廉頗は将軍に任命されていません。
このように史実だけだと、キングダムの物語は全く成り立たなくなってしまいます。
そのため、戦いなどは史実をベースにはしていますが、内容は原泰久先生のオリジナルだと考えた方がよいでしょう。
原泰久先生の凄さ
キングダムは史実が4だと言いましたが、「なんだ嘘が多い話だったのか~」と残念に感じた人もいるかも知れません。
しかし、史実では1行しか記録が残っていない将軍に命を吹き込み、本能型の武将などの個性を持たせた原泰久先生は凄い知能の持ち主だと自分は考えています。
鄴攻めに関しても、史実では最初に9つの城を落とした事や鄴や閼与を陥落させた事が書かれているだけです。
それを原泰久先生は、9つの城を落としたのは、鄴の城に住民を集めて兵糧攻めを行うためと言う事にしました。
史実には、全く書かれていませんが、ありえない話でもないかなと感じましたし、その発想力に感服した次第です。
資料が少ない中で、あれだけのストーリーを描けるのは、本当に凄いと思っています。
キングダムは、史実が分かっている人には、結果が見えてしまっているわけですが、楽しみは幾つかあります。
史記に書かれている史実の人物ですと、死に方などが書かれていない場合が多いわけです。
龐煖、王賁、李信など死に方が分かっていない武将も数多くいます。
そういう武将をどの様に描くのかもキングダムの楽しみ方の一つでしょう。
他にも、昌平君は後に楚王となるわけですが、そこで蒙武との対決もあるはずです。
同じ呂氏四柱として活躍して、親友という設定になっている為、どの様な結末に描くのかも楽しみの一つとなります。
キングダム作者に要望
原泰久先生に要望があるとしたら、斉を降伏させた天下統一後も描いて欲しいと感じました。
始皇帝(嬴政)が焚書坑儒などを行い、巡幸中に張良(後の劉邦の軍師)に命を狙われたりもあります。
さらに、蒙恬が万里の長城を築いたり、北方の匈奴征伐の成功などもあるわけです。
その辺りも描いてくれたらな~と感じています。
ただし、描いてしまったら趙高により功臣が次々に殺されてしまったり、見るに堪えない状況になってしまうかも知れませんが・・・。
秦は統一後に僅か15年で滅亡しますが、始皇帝、李信、蒙恬、王翦、李斯などが理想を描いた国が、どの様にして滅びていくかも描いて欲しいと感じています。
その後に項羽と劉邦の戦いもあり、最後は劉邦が勝ち皇帝となります。
皇帝となる劉邦は、キングダムの世界では、既に生まれているはずなので、チョイ役でもいいから出して欲しいと思いました。
劉邦が天下統一して漢の武帝が匈奴を征伐したりする辺りまで、欲を言えばやって欲しいと思います。
流石に、三国志の時代までは難しいかなと感じていますが・・・。
しかし、漫画の連載というのは非常に大変な作業だと聞いた事があります。
それを考えれば激務だと思いますが、原泰久先生を応援しようと思いますし、これから先のキングダムのストーリーにも楽しみにしています。
ちなみに、この記事を書いている段階では、木曜日なので今週のキングダムを見て来たいと思っていますw