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日本でも「完璧」という言葉はよく使われていますし、日常で使う言葉になっています。
しかし、完璧の語源は趙の名臣・藺相如の故事に由来します。
尚、完璧の璧という字を「壁(かべ)」だと思っている人がいますが、漢字の下の部分が【玉】になっていなければいけません。
【土】になってしまったら、壁(かべ)という字になってしまいます。
この故事からは連城の壁という故事成語も誕生しています。
高価な物の事です。
尚、上記がキングダムで登場した藺相如です。
昌平君並みのイケメンとして描かれています。
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目次
和氏の璧と15の城を交換する
秦は和氏の璧が趙にある事を知ると、15の城と交換しようと言ってきました。
趙よりも秦の方が国力が上なので、了承しないと攻め込まれる可能性があります。
しかし、和氏の璧を秦に渡してしまっても、本当に15の城を割譲してくれるかは疑問がありました。
これにより趙の宮廷は揉めに揉めました。
趙としては、和氏の璧を秦に贈り15城を貰うのは悪い話ではないでしょう。
しかし、秦は虎狼の国とも呼ばれ約束を守れない国でもありました。
楚の懐王は、秦と会談をするために、武関に出かけたら捕らえられて幽閉されてしまった事件もあります。
ここで宦官の長である繆賢が推薦したのが、自分の家臣である藺相如です。
過去に、藺相如のアドバイスに従って行動したら、恵文王に許された過去を話し【知勇兼備の士】として、藺相如を推薦します。
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恵文王が藺相如を登用する
恵文王は藺相如と会って意見を求める事にしました。
恵文王「秦から15城と我が和氏の璧を交換したいと言ってきておる。どうすればよいか?」
藺相如「秦は強大、趙は弱いのですから、拒むわけには行かないでしょう」
恵文王「秦王は和氏の璧を与えれば15城は寄こすだろうか?」
藺相如「秦が15城と和氏の璧を交換したいと言っているのに、拒否すれば趙の非になる。趙が和氏の璧の秦に与えたのに城をよこさないのであれば、秦に非がある。秦の要求を入れて和氏の璧を秦に入れるべきです」
恵文王「使者は誰が適任だと思うか?」
藺相如「特にこれと言った方が無ければ、私が使者になりましょう。15城が趙に割譲されれば、和氏の璧は秦において参ります。秦が15城を寄こさなければ和氏の璧は趙に持ち帰ります」
このようなやり取りがあり、藺相如が趙の使者に選ばれました。
藺相如の外交官デビューが決まったわけです。ただし、最初から難題ですよね・・・。
尚、この時までは、藺相如は宦官繆賢の家来に過ぎません。
しかし、秦王への使者が宦官の家来ではまずいので、恵文王が何らかの役職を与えたのでしょう。
これにより、藺相如は恵文王直属の臣下になったはずです。
先にお話したように、秦は楚の懐王を武関で会見する約束をしておきながら、捕らえてしまい連行して死なせてしまった過去があります。
そのため、藺相如が使者になるというのは、死地に赴く事でもありました。
藺相如と秦の昭王の真意を見抜く
藺相如は秦に到着すると秦王と章台という場所で対面します。
そして、秦王に和氏の璧を捧げます。
秦王は受け取ると、周りの侍女や側近に和氏の璧を見せつけ始めました。
周りの人間は、和氏の璧を見て喜びの顔をしていたわけです。
さらに、秦の人間は昭王の宝物が増えたと万歳を唱えます。
これを見た藺相如は秦が和氏の璧を渡す気がない事を判断しました。
つまり、秦は15城と和氏の璧を交換する気はない事を見抜いたわけです。
藺相如激怒!怒髪天を抜く
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藺相如は秦の昭王に、和氏の璧に傷があるから場所を教えると言います。
そして、秦王から和氏の璧を取り戻すと、怒髪天を抜く勢いで激怒しました。
藺相如「趙において秦は空言を持って和氏の璧だけ手に入れようとしている!城を得る事は出来ないと言う意見が活発だった!」
藺相如「しかし、秦のような大国が欺くはずがないと恵文王は判断し、私に和氏の璧を持たせた!」
藺相如「それなのに、大王の態度はなんだ!使者を前にして城の話しは一切出さずに、侍女や側近に見せびらかすだけの有様!」
藺相如「大王が私に城を与える気がない事を悟り和氏の璧を取り戻したまでだ!」
藺相如「大王が城を渡す気がないのであれば、和氏の璧もろとも自分の頭を打ち付けて死ぬまでだ!」
昭王「ま・・・待て。地図を持ってこい」
昭王は和氏の璧が壊れてしまっては、どうしようもないので地図を持ってこさせる事にしました。
昭王「ここから先の15城でどうか??」
しかし、藺相如は地図を持ち帰っても、昭王が城を明け渡す気がない事を悟り。
藺相如「趙王は和氏の璧を送り出す時に、5日間の斎戒なされました。大王(昭王)にも5日間の斎戒を行い九賓の礼を設けて頂きたい。それが出来れば和氏の璧を必ず献上いたす」
昭王「分かった。言われた通りにしよう」
昭王は藺相如の言葉に従い斎戒に入る事になりました。
昭王が斎戒に入る
秦の昭王の不思議なところなのですが、演技とは言え本当に5日間の斎戒に入った記述があるのです。
普通であれば殺してしまって、和氏の璧を奪う事も出来たはずですが、本当に5日間の斎戒を行ったようです。
キングダムでは秦の昭和王は戦神と言われていますが、人のよい所もあるのかも知れませんw
しかし、藺相如は秦が城を渡す気がない事を悟り、従者に命令して間道から和氏の璧を持って趙に帰らせてしまいました。
藺相如がいなくなれば、秦は追っ手を差し向ける事は目に見えていました。
そのため、藺相如は秦に留まりました。
藺相如がもてなしを受ける
昭王は5日間の斎戒が終わり9賓の礼を持って藺相如と会う事になりました。
しかし、既に従者に和氏の璧を持って趙に帰らせています。
そのため、死を覚悟して昭王と謁見したわけです。
藺相如「秦は穆公様いらい約束を守った方がおられません。私は大王(昭王)に欺かれる事を恐れて従者に命令して和氏の璧を趙に持ち帰らせました。今ごろは、趙に到着している頃でしょう」
藺相如「もう一度、大王が趙に使者を出して15城を引き渡せば、趙は和氏の璧を差し出します。」
藺相如「私は大王を欺いた罪は重い、ここは処刑してもらいたい」
それを聞いた昭王はビックリして、側近を見渡します。
側近は騙されと思い藺相如を捕らえようとします。
しかし、それを昭和王は止めました。
昭王「藺相如を殺しても、和氏の璧は手に入らない。さらに、趙と誼を断絶する事になる。それよりは藺相如を歓待して帰した方がよい」
このように述べ藺相如は秦で手厚いもてなしを受けて帰りました。
藺相如は難しい外交を見事やり遂げたわけです。
藺相如が上大夫になる
趙側としては、藺相如が斬られる可能性もあると考えていたわけです。
しかし、最初は従者と和氏の璧が趙に帰ってきて、さらに藺相如も帰還した事で趙の恵文王は大いに喜びます。
そして、藺相如の功を讃えて恵文王は上大夫に任命します。
秦に使者として行く前は、宦官の家来だった男が一度の外交で大臣になったわけです。
驚異的な出世です。
尚、和氏の璧に関しては、秦も城を与えませんでしたし、趙も和氏の璧を手元に置く事になりました。
秦の昭王がこの後に取った行動を考えてみると
藺相如の話しですが、秦の昭王の懐の深さが分かるような気がします
しかし、秦は翌年から趙の領土である藺、祁、離石、光狼城などの4つの城を白起将軍に攻めさせて陥落させています。
そのため、昭王は、後で思い出して激怒して攻めた可能性もあるかも知れませんw
攻めさせた地域に【藺】が入っている事が藺相如に対する怨念が籠っているようにも思えます。
しかし、この後も事件が起こり藺相如は活躍をします。
秦の昭王もやられたままでは、気が済まずに反撃を企んでいるわけですw